母一人 子二人
以前、私はいわゆる〈母子家庭〉でした。
3歳と1歳の子どもと三人暮らし。
手に職もなく、独身時代の仕事は土日勤務必須。
保育園は土曜は半日、日曜祝日はお休み。
実家こそ近いものの、母は既に他界しており、父独居。実家には頼れない。
母の他界をきっかけに、福祉の仕事に興味を持ち、仕事をしながら福祉の資格勉強を始めました。
福祉の仕事なら、子どもたちを育てながらできる条件も探せばあるし、手に職をつけたら少しは収入も増えるかも。
勉強嫌いな私の、小さな闘い。
生活は正直苦しく時間に余裕もなく、でも子どもたちの笑顔があるから子どもたちの笑顔を守りたいから頑張れたあの日々。
部屋の電気という電気はそそくさと消し。
無料で楽しめるイベントや、近所の図書館はフル活用。
食材は捨てる部分はほとんどないように工夫して。
洋服やおもちゃは手作りか、はたまたリサイクル品をリメイク。
あの頃は当たり前のようにやっていた節約という名の習慣。
辛いと思ったことは一度もなく。
ただただ、子どもたちといられる時間が楽しくて幸せで。
〈母子家庭〉を経験し、初めて〈お金より大切な何か〉を知った気がします。
あれから10年強。
今は生活も安定し、穏やかな日々を送っています。
人並みの生活をしているのかもしれません。
ただ、薄れているあの時の習慣。
子どもたちはあの頃が一番幸せだったと言います。
そう〈母子家庭〉だったあの頃。
贅沢なことは何一つして上げられなかった。
でも、あの頃が一番幸せだったと。
楽しかったとも。
そんな風に思える心を持った子どもたちを誇りに思うと同時に、今の生活を改めて振り返る。
お金では買えない幸せがあるのかな?
幸せな時間は流れているのかな?
贅沢というベールに包んでしまい込んでいないかな?
亡くなった母がくれた、福祉という世界の扉。
福祉という扉を開く力をくれた子どもたち。
その福祉ともきちんと向き合っているのかな?
家庭。
子育て。
仕事。
自分自身。
いろんな事に、時々立ち止まり、振り返り、また前に進む。
そんな時間の使い方をしてるかな?
きっと私が最初から順風満帆な人生を送っていたら、100パーセント考えることのなかった
問い。
きっと私が最初から、ママになっていなかったら100パーセント気づかなかった世界観。
〈母子家庭〉から始まった、私の人生。
母子家庭は決して暗く重いものだけではなく、人生を明るく照らすスタートラインにもなります。
今、私は一概に福祉と言えど、さまざまな形があり、本当の福祉を模索しながら仕事をしています。
福祉は人に与えるものではなく、実は人に与えられるものなのかもしれません。
まだわかりません。
答えなきテーマの一つです。
母子家庭、父子家庭も、同じです。
もしかしたら、違う意味のあるもので辛く悲しいものだけではなく、人として大きくなるための何かなのかも、、、なんて。
まだわかりません。これもまた答えなきテーマの一つです。
固定観念にとらわれすぎていますが、答えなき意味はいろんな所にゴロゴロと転がっている気がします。
私はそう思っています。
そのゴロゴロと転がっているものを拾い集め、見せ合い、話し合う場所と仲間と時間こそが今のご時世、一番必要なのかもしれません。
こんなこと子どもを持ち、母子家庭として生きてみなかったら考えもしませんでした。
だからこそこの想いを届けたいです。
たくさんの人たちに。
そして、私の中で答えが出ないさまざまなテーマを一緒に考えてくれる人が嬉しいな
って思います。
きっと、誰もが胸に抱えている誰かと話したい、一緒にいたいという気持ち。
わかります。私は。